ONU下部の分岐構成におけるひかり電話発着信トラブル

トラブル事例

下図のようなネットワーク構成にて、ひかり電話の発着信が出来なくなったトラブル事例を
ご紹介します。

ひかり電話を契約しているフレッツ光回線をOUNで分岐し、ひかり電話に対応したVoIP装置
とインターネット接続用ヤマハルーターを設置した構成で電話の発着信ができなくなるトラブルが発生しました。

本来、ONUを分岐して、VoIP装置と他の装置を並列につなげるのはよろしくないのだが、
VoIP装置に下部からインターネット接続させる機能(PPPoEパススルーやIPv6の再配布)
がないため、直列につなげることができなかった。

NVR510に、IPoEインターネット接続設定をWebGUIのウィザードで実施後、
トラブルが発生した。

原因は、NVR510の設定

ip lan2 address dhcp

という設定行でした。

この設定は、ヤマハルーターのWebGUIからIPoEインターネット接続設定を行ったところ
いつの間にか追加されていた設定です。

WebGUIのウィザード実施時に、「ひかり電話の契約」を「契約をしている」を選択すると
追加されてしまいます。

ひかり電話契約をしている回線にて、ONU直下にヤマハルーターを設置している以上
ひかり電話の契約は「契約している」を選ぶのが正しいのですが、
WebGUIのウィザードが気を利かせて、上記の設定行を追加してしまうようです。
どうして気を利かせたことなるのかは後述します。

ip lan2 address dhcp

とは、lan2のインターフェイスのIPアドレスをDHCPで割り当てるという意味ですが、
ヤマハルーターにとって、lan2とはWANのインターフェイスのことで、
ONU直下に接続した場合のDHCPサーバは、フレッツ網の中にあるDHCPサーバということにになります。

ただ、ひかり電話契約回線にて、回線側から割り当てられるIPv4アドレスは、
サブネットマスクは30ビットのIPアドレスです。
詳しい説明は割愛しますが、サブネットマスク30ビットということは、
2つのIPアドレスしか同一ネットワーク上で利用できない。ことを意味しています。

2つのうち1つは、回線側の対向装置で利用しますので、契約者側で使える
IPv4アドレスは1つだけということになります。

そのため、DHCPでIPアドレスをもらおうとする装置が複数あれば、IPアドレスの
奪い合いになってしまいます。
奪い  I(愛)Pアドレスです!


当然、同一ネットワークに同一IPアドレスがあるのはネットワークトラブルの
原因になります。

今回の構成では、NVR510とVoIP装置がDHCPからのIPアドレスを取得しようと
してしまいます。DHCPで取得したIPアドレスは、有効期限があるため、
定期的に更新されます。そのためそれがトリガーとなり、使えていたひかり電話に
不具合が生じる現象が起こるということになります。

対処方法としては、NVR510のconfigから設定行
ip lan2 address dhcp
を削除してしまえば良いということになります。
コンソールから

no ip lan2 address dhcp

を実行することで削除できます。
saveコマンドで保存することも忘れずに実行しましょう。

この設定を削除しても、インターネット接続とは関係ないので、
特に支障はありません。

では、なぜこの設定は追加されてしまったのでしょうか?
おそらく、NVR510はVoIP機能を持っているので、
NVR510自体のVoIP機能を使って、電話機能を利用する場合は
必要となる設定だから、WebGUIのウィザードのほうで、気を利かせて
追加したのだと推測します。

このように、WebGUI設定は便利ですが、思わぬ設定追加が行われてしまう場合がありますので、注意が必要です。動画もありますので、こちらもどうぞご覧ください。

フレッツ光回線のONU下部を分岐することについての考察記事はコチラ

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